2019年 / 福島県
土地の傾斜を利用して、仕事から離れ安らげるプライベート空間を設けた住まい
「畑の中の曲がり家」は、隣地にたつ旅館を営む家族のための家です。
旅館は長期滞在者が多く、手作り料理でのおもてなしや温かいお風呂の準備など、早朝から夜遅くまで仕事が続きます。そんな家族が、ほんのわずかの手の空いた時間でもゆったりと安らげるような家を目指しました。
敷地は東に向かって緩い下り坂となっており、坂の下は南に美しい山の眺望があります。この環境を生かし、旅館仕事にストレスなく向き合うことができ、プライベートな時間は美しい自然環境を楽しめるように建築操作をしました。西側にたつ旅館とのアクセスが良くなるように玄関や勝手口は西面に設け、みんなが集まる部屋や個人の居室は、自然がのぞめる南に配置するため、建物全体をL字型の平面形状としました。家族が集まる部屋の中央には、囲まれた坪庭を設け、仕事場との意識的な距離を遠ざけました。この庭は、家族が集まった時には、それぞれ自分の時間を過ごすためのバッファー空間の役割も果たします。また、傾斜地を生かし旅館の地上レベルを中心にスキップフロアとすることで、旅館から居室へのアクセスが効率的になっただけでなく、大規模な造成工事をしないで既存の畑をそのまま生かした敷地利用とできました。
畑では、施主の母親が以前と同じように野菜をつくり、旅館のお客さんは昔と同様に地元の料理を楽しんでいます。この家は、仕事とプライベートの関係を再構築した建築です。
設計概要
- カテゴリー
- 戸建住宅
- 所在地
- 福島県
- 床面積
- 150㎡
- 構造
- 木造在来軸組工法 2階建
- 竣工年
- 2019年
- 構成
- スキップフロア